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新型コロナウイルス感染拡大を阻止できた勝ち組と失敗した負け組【篁五郎】

感染爆発のインドは「想像を絶する深刻さだ」と駐在記者(2021年5月4日)

 

■コロナウイルス感染拡大の勝ち組と負け組、それぞれの共通点

 

 コロナウイルス感染拡大を食い止めた国に共通している点は徹底した対策を取った点である。感染経路を克服するためにPCR検査を徹底し、ロックダウンも躊躇せずに実行してリモートワークへの移行を促した。

 中国に至ってはワクチンだけではなく漢方を使ってまで抑えてきたのだから何を使ってでも抑え込むという意思を強く感じる。イギリスも初期対応は悪かったものの思い切ったロックダウンを実行し、2020年3月から行っている休業補償を行っている。しかも今年の9月まで延長が決まっており、昨年新たに仕事を始めるなど税務当局への登録の関係で補償を受けられなかった60万人も補償の対象となるという。

 ロックダウンをしても元に戻れるという安心感を与えたのがコロナを抑え込めた要因といえるだろう。

 

 一方、負け組も出てきているがこちらははっきりいって悲惨そのものとしかいえない。

 その筆頭がご存じのようにインドである。

 インドは、5月3日現在新規感染者が12日連続で30万人超え、累計2000万人に迫るほど。現在の世界でトップの負け組と見ていいだろう。国内11の州・直轄領が感染抑制に向けて何らかの制限措置を導入しているが、モディ政権は経済への影響を巡る懸念から全土のロックダウン(都市封鎖)に消極的な立場を取っている。

 国外にいるインド人も渡航が制限されており、アメリカではインド訪問の外国人の入国を停止するくらい警戒態勢を敷いている。

 変異株の拡大も止まらず、1週間で約2600人が死亡。病院のベッドが埋まり、入院できない大勢の患者が路上で酸素吸入を受けている状態が続いており、世界最高齢の射撃競技選手として有名なチャンドロ・トマル氏が新型コロナウイルス感染により死亡するといった状況だ。

 しかも、変異種の感染力は英国株を上回るという報告もあり、先の展望は目を覆うばかり。

 ここまで感染が広がったのは、どうやらインドの政策担当者・メディア・科学者が誤った科学と不正確な統計データに基づいて、インドはもう集団免疫を獲得している、子供のころのワクチンで守られている、「インド人は特別だ」という幻想を広めていたからだという。

 それを信じてしまうのもどうかと思うが、今からでも大規模な手を打つしか策はないだろう。

 二つ目の負け組として名前が挙がるのがブラジルだ。感染者数は世界第3位の1480万人でインドに抜かれるまで2位をキープしており、今でも一日当たりの感染者数が3万人を超えているほどコロナに苦しめられている。

 感染が拡大した理由は、ボルソナロ大統領が新型コロナを軽視してきたツケがのしかかってきた格好だ。感染拡大に苦しむ国民に対し「泣き言を言うのをやめろ」と言い放ち、専門家の提言に耳を貸さない姿勢は変わっていない。

   累計で40万人が亡くなり墓が足りず道路に遺体を埋葬するほど状況は悪化している。国境なき医師団から「危機の深刻さを認識し、避けられる死をこれ以上増やさないために、科学的根拠に基づいた新型コロナへの一元化した対応や調整を行う体制を緊急に立ち上げるよう求める」と提言されているが、ボルソナロ大統領がいる限り混乱は続くだろう。来年の大統領選挙まで待てなければ内乱が起きるかもしれない。

 

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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